経皮的冠動脈再建術(PTCA)後の再狭窄の原因として、アンジオテンシン変換酵素(ACE)遺伝子多型を取り上げ、内膜肥厚と関係することを報告した。加えて、血管平滑筋の増殖因子、血管作動因子、接着分子などの要因が考えられ、冠動脈造影所見からQCA(図)を用いて内膜肥厚を計測し、両者の関係について検討を行っている。また、ACE遺伝子多型は心筋梗塞急性期予後に関与するという仮説を立て、それを検証することに成功した。一方、新たな虚血形態の一つであるpreconditioningが重篤な心室性不整脈の抑制にも有効であることを臨床的に観察し報告した。さらにACE遺伝子多型の心筋梗塞急性期予後に関与するメカニズムがpreconditioningであることを示した。
図1 定量的冠動脈造影解析 臨床研究において、心筋梗塞急性期左房圧の上昇がない肺水腫の存在を報告した。そこで、冠動脈結紮犬を用い左房圧上昇がない肺水腫出現のメカニズムを検討し、心筋梗塞急性期肺水腫出現における様々な液性因子の関与を報告した。また、超音波クリスタルを用いた局所心機能解析、心筋局所長と左室圧関係のループから、心筋構造の異なる左室乳頭筋付着部と自由壁では後負荷に対する反応性が異なると報告した。
図2 心筋ミオシン重鎖アイソフォームの心肥大による変化 図3 24時間心拍変動の周波数解析による自律神経機能の評価 運動療法は中枢効果と末梢効果として運動筋血管拡張能の増加を招き、その結果、運動能力の増加を導くという研究成果をまとめた。加えて、動脈硬化性疾患の客観的指標の確立のため超音波法の新しい指標であるIntegrated Back Scatterを用いて心筋も含めて頚動脈の内膜中膜肥厚やプラークの性状を分析中である。さらに分子生物学的に動脈硬化の発症機転における役割が注目されている血管内皮障害のマーカーである細胞接着因子の末梢血濃度との相関についても検討中である。つぎに運動の高血圧改善に及ぼす機序として運動時のエネルギー代謝に注目し、運動による脂肪燃焼量の増加を報告してきた。その結果、有効な運動強度として、脂肪燃焼量を考慮した運動処方の作成に成功した。
図4 磁気共鳴映像法(MRI)による心大血管の三次元再構成画像
2. 冠動脈結紮犬を用いた機械的循環機能解析の基礎的研究
3. .心臓病の病態形成における心筋収縮蛋白機能・増殖シグナル伝達機構に関する分子生物学的研究
心筋虚血・心再構築など分子機構を心筋収縮蛋白機能の点から解明し、冠血管内皮由来増殖因子・上皮細胞成長因子・G蛋白結合受容体シグナルなど分子・個体レベルで明らかにしている。
1)遺伝子操作動物を用いた研究によりGq蛋白結合型受容体シグナルは心筋収縮蛋白機能改善・心筋細胞肥大・間質線維化・心臓調律に重要であることを見い出した。
2)実験心不全・実験心虚血モデルではカテコラミン αβをはじめとするG蛋白結合型受容体はdown-regulationし、これら神経体液性因子による心筋収縮蛋白機能は抑制された。
3)心臓病態形成におけるGq蛋白結合受容体増殖シグナルの大部分は上皮細胞成長因子受容体を共役活性化して伝達されることを発見した。
4. Evidence Based Medicine に基づく不整脈の研究
心室性不整脈は突然死の原因として重要であり、これと関連して心拍数変動の分野で数多くの報告をしてきた。さらに、心室性不整脈患者の予後を予測する心室遅延電位の分野でも種々の報告をしてきたが、慢性虚血の新たな概念である気絶心筋と心室遅延電位が関係することについて初めて報告した。一方、当科における心房細動約400例で基礎検討を行い、軽微な僧帽弁逆流が脳梗塞の新たな危険因子であることを見い出した。
5. 運動療法の適応拡大と動脈硬化危険因子の抑制
6. 画像診断による各種心疾患の病態解明
MR断面像から三次元画像を再構成するシステムを考案し、心疾患の解剖や病態把握に応用した。また、ガドリニウム造影MRIは心筋梗塞範囲や心筋症の心筋性状の評価が可能であり、新たな有用性を報告した。心筋シンチにおいては、123I-MIBGによる交感神経機能や123I-BMIPPによる脂肪酸代謝の評価、99mTc製剤では心室筋のみならず心房筋の評価、心ポンプ機能との関連を報告した。
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