主な臨床検査結果(成人)の見方  関西医科大学枚方病院臨床検査部
注意1) 基準値はあくまで目安ですので基準範囲から外れたからといっても異常とは言えません。(H:基準値より高い場合、L:基準値より低い場合) 詳細は主治医にご相談下さい。
注意2) 他院での検査結果と大きく違う場合には測定方法や単位が異なる場合もあります。
検査項目名 男性、女性 説 明
略称 一般名 基準値 (単位)
RBC 赤血球数 男:400-570 (*104 μL) 赤血球は血液中で酸素を運ぶ役目をしています。ヘモグロビン(Hb)は赤血球の中でも酸素と結合する成分です。血液中での血球の割合をへマトクリット(Ht)値といいます。Hb濃度が低くなった状態を貧血と言います。下のMCV、MCH、MCHCなど項目の値で貧血の種類を判断します。
女:370-510 (*104 μL)
Hb ヘモグロビン       (血色素)濃度 男:12.9-17.2 (g/dL)
女:11.3-15.4 (g/dL)
Ht ヘマトクリット 男:38.2-50.8 (%)
女:34.0-46.3 (%)
Plt 血小板数 14.0-34.0 (*104μL) 血小板は止血(出血を止める)に重要な働きをします。
MCV 平均赤血球容積 82-100 (fL) 1個の赤血球の大きさの指標です。
MCH 平均血色素        (ヘモグロビン)量 27.5-34.5 (pg) 1個の赤血球に含まれるHbの量です。
MCHC 平均血色素濃度 32.0-35.5 (g/dL) 1個の赤血球に占めるHbの割合です。
RDW 赤血球分布幅 38-51 (fL) 赤血球の大きさのばらつき度合い(標準偏差)で、出血などで増加、輸血の指標にも利用します。
PDW 血小板分布幅 10.4-17.2 (fL) 血小板の大きさのばらつき度合い(標準偏差)で、血小板凝集や正確な測定を判断するのに利用します。
MPV 平均血小板容積 8.9-12.6 (fL) 血小板の造血能の指標
P-LCR 大型血小板比率 18.9-46.7 (%) 血小板凝集や血小板数が正確に測定されているかどうかの判別に使います。
WBC 白血球数 35-85 
(*102μL)
白血球は体を細菌やウイルス等から体を守る成分で、いくつかの種類があります。
ESR 赤血球沈降速度 男:10以下
(mm/h)
血液を静置して、一定時間後の赤血球の沈む速度を測ります。炎症、貧血、栄養状態などの目安になります。
女:15以下
(mm/h)
Glu 血糖値 60-100 (mg/dL) 血液中に含まれるプドウ糖を測定したのが血糖です。食事等の影響で変動しますが、糖尿病で増加します。
HbA1c 糖化(グリコ)ヘモグロビン/ヘモグロビンA1c 4.3-5.8 (%) 過去1~3ケ月間の平均血糖値を反映しますので糖尿病の優れた指標です。食事等の影響で変動はしません。貧血があると異常低値になります。健康値として5.2%以下が推奨されます。
GA 糖化(グリコ)アルブミン 12.3-16.5 (%) 過去1~2週間の平均血糖値を反映しますので糖尿病の優れた指標です。食事等の影響で変動はしません。
CRP C反応性蛋白 0.3未満 (mg/dL) 細菌感染による炎症、組織破壊に反応して上昇します。低ければ低いほど良く、動脈硬化では僅かですが高くなります。
TP 総蛋白量 6.5-8.0 (g/dL) 血清中の蛋白の総量で、栄養の指標です。主にアルブミンとグロブリンとの成分によって構成されます。
ALB アルブミン 3.8-5.0 (g/dL) 血清蛋白の中で最も量の多い成分で、肝臓で合成されます。肝臓や全身の栄養状態を知る事ができます。
A/G アルブミンとグロブリンの比 1.25-2.14 一般に病気になるとアルブミンが減少し、グロブリンが増加しますので鋭敏な病気の指標になります。
T-Bil 総ビリルビン 0.2-1.2 (mg/dL) 赤血球に含まれるヘモグロビンが破壊された代謝産物です。肝臓で処理されますが、機能が悪いと血中濃度が増加します。黄色い色素で、黄疸の原因になる物質です。
D-Bil 直接ビリルビン 0-0.2 (mg/dL) ビリルビンには肝臓で処理される前の間接ビリルビンと処理された後の直接ビリルビンに分けられ、総量が総ビリルビンです。胆石などで胆道が閉塞すると増加します。
AST (GOT) AST(旧称、GOT) 13-35 (IU/L) 肝臓・心臓・筋肉等に多く見られる酵素で、それらの部位が障害されると値が上昇します。
ALT(GPT) ALT(旧称、GPT) 5-35 (IU/L) 主に肝臓に限局してある酵素で肝臓の細胞が破壊されると上昇します。
ALP アルカリホスファターゼ 107-340 (IU/L) 肝臓(胆道)・骨・小腸・腎臓などに見られる酵素で、障害されると値が上昇します。
Ch-E コリンエステラーゼ 185-450 (IU/L) 肝臓が産生する固有の蛋白酵素です。肝硬変のように機能が衰えると産生量が低下します。他方、栄養過多の脂肪肝などでは増加します。
LD(LDH) 乳酸脱水素酵素 112-230 (IU/L) 肝臓・心臓・筋肉・腎臓、血液成分(赤血球・白血球・血小板等)等にある酵素で、破壊されると増加します。
γ-GT(γ-GTP) ガンマグルタミル        トランスペプチダーゼ 男:11-64 (IU/L) 肝臓の解毒作用に関係する酵素です。特に他の肝機能検査よりアルコールや薬剤による肝障害で上昇します。
女: 8-45 (IU/L)
AMY アミラーゼ 32-125 (IU/L) 膵臓や唾液腺に含まれ、膵炎や耳下腺炎などの病気で増加します。
CK(CPK) クレアチンキナーゼ 男:55-245 (IU/L) 心臓や骨格筋の筋肉が障害を受けると増加します。激しい運動だけでも増加する鋭敏な検査です。コレステロールを下げる特殊な薬剤の副作用の検出には必須の検査です。
女:45-165 (IU/L)
BUN 尿素窒素 8-20 (mg/dL) 蛋白質が分解されて出来る老廃物で、普通は腎臓から排出されます。腎機能が悪くなると、血中の尿素窒素は上昇します。蛋白質の多い食事の内容によっても影響を受けます。
Cr クレアチニン 男:0.6-1.0 (mg/dL) 筋肉中にあるクレアチンの代謝産物です。腎臓から排泄されるので、腎機能が低下すると増加します。筋肉が多い男性では高く、お年寄りでは低値ですので基準値は目安です。
女:0.4-0.8 (mg/dL)
UA 尿酸 男:4.0-7.0 (mg/dL) 核酸が壊れてできる物質です。食物中のプリン体も尿酸の元です。増加すると痛風や腎臓障害の原因になります。
女:2.5-5.5 (mg/dL)
Na ナトリウム 138-146 (mEq/L) 刺激の伝達、筋肉の収縮、止血、血圧などさまざまな生理作用に関与していて生命活動に重要な役割をしています。厳重に調整されていて、基準値を外れる際には何らかの病態が考えられます。
K カリウム 3.5-5.0 (mEq/L)
Cl クロール 100-110 (mEq/L)
Ca カルシウム 8.5-10.3 (mg/dL) 骨には大量のカルシウムがあり、副甲状腺ホルモンが血中濃度を調節しています。約半分はアルブミンと結合していますので、アルブミンが減少すると値は低くなります。
TG トリグリセリド 150未満 (mg/dL) コレステロールと並んで、動脈硬化の原因になる脂肪の一種です、遺伝の影響が大ですが、肥満(過食)や飲酒で増加します。
中性脂肪
LDL-CHO LDLコレステロール 基準139以下 (mg/dL) 通称「悪玉コレステロール」です。動脈硬化と明らかな相関関係があり、境界域では食事療法や運動療法での治療が、治療域では特効薬があり、それによる治療が勧められています。狭心症などの心臓病では100mg/dl未満の低い値が目標とされています。
境界140-159 (mg/dL)
治療160以上 (mg/dL)
(動脈硬化学会ガイドライン)
HDL-CHO HDLコレステロール 男:41-70 (mg/dL) LDL-CHOとは逆に動脈硬化を防ぐ脂肪で「善玉コレステロール」と称されています。運動習慣で増加します。
女:41-80 (mg/dL)
血圧分類 上(収縮期)の血圧 下(拡張期)の血圧
至適血圧 120未満 かつ     80未満
正常血圧 130未満 かつ     85未満
高血圧 140以上 または    90以上