関西医大HOME -> 市民公開講座目次 -> 第7回市民公開講座 -> 附属枚方病院について
関西医科大学第7回市民公開講座
「附属枚方病院について」
濱田 彰(関西医科大学附属香里病院病院長)
平成17年(2005年)1月29日(土)
寝屋川市立総合センター2階中央公民館講堂

-----*-------*-------*-------*-------*-----

濱 田(関西医科大学附属香里病院病院長)

( slide No. 1 )

 平成18年1月に枚方新病院が関西医大附属病院としてオープンし、それに伴い平成17年末に香里病院をいったん閉院します。皆様方にその状況をお知らせするために少しお時間をいただきます。

  この写真は前回の市民公開講座でもお見せしました。左の写真は寝屋川市のホームページに掲載されている昭和30年代の京阪香里園駅です。駅舎も平屋で周辺には建物も見当たりません。このような状況のときに右の写真のような関西医大附属香里病院が建築されました。三階建てで、当時としては立派な病院でした。今では建て増しをして4階建てですが、昭和30年代から50年経過して建物も手狭になり、病院としての機能が低下して来ている状況になっています。

( slide No. 2 )

 関西医大附属病院は滝井、香里、男山、洛西にあり、さらに枚方を含めると5つにもなります。まず本院である滝井の附属病院は建物のほうはまだもちますが、内部の配管、構造などにいろいろな問題が出てきています。香里病院も同様です。昭和30年から50年経過して老朽化してしまいました。

  現在病院に求められる機能としてまず皆様方のプライバシーを保護する必要があり、個人情報保護法もこの4月から制定されます。それから高齢の方、障害を持っている方が来院者にたくさんおられます。その方のためにバリアフリーが必要になりますが、香里病院の建物はご存じのように玄関からスロープになっていてバリアフリーにはほど遠い状態です。さらに昭和30年代、40年代には考えもつかなかったほど先進医療が進歩して、それに伴う器械を収納するスペースを当時は想定していません。高度先進医療のための施設として現在の附属病院、香里病院ともに不向きになっています。

  ところが滝井で建て替えようにも非常にたて込んで、道路が狭い。また香里病院も斜面構造ですから、そのままの運営を続けながら建て替えることが非常に難しい。ということで余裕のある敷地で新病院を建築しようという事となりました。

( slide No. 3 )

 これが関西医大附属枚方病院の完成予想図です。現在では12階まで立ち上がっているので、全容が見ていただけるようになってきました。

( slide No. 4 )

 最寄りの駅は京阪枚方市駅です。枚方市駅のロータリーから淀川に向かって行くと府道京都守口線があります。これを渡るとまずこの三角地に作られる情報センターに入ります。こちらには車が入ることができます。倉紡の跡地に枚方病院が建設されます。図の黄色の部分は将来大学移転が予定されている敷地です。北には天野川、西には淀川があり、河川敷公園があります。

( slide No. 5 )

 建設する前の航空写真です。枚方大橋があり、淀川があり、天野川があります。河川敷公園があり、病院予定地はここで、大学予定地はこちらです。京阪の枚方市駅はこの道の突き当たりになります。枚方市駅から府道京都守口線を渡って、情報センターから病院に入ります。

( slide No. 6 )

 既に周辺の基盤整備事業が進んでいます。府道京都守口線の歩道の拡幅が終わり、車道も少し広くなっています。病院に入るための中央道路も整備されております。河川敷公園の遊歩道もほぼ完成しました。

( slide No. 7 )

 計画の概要です。1万7000坪あり、鉄筋コンクリートで地下1階、地上13階、67mの高さで駐車台数は430台が見込まれています。そのうち 200台分は大学移転予定地ですから、移転まで駐車場として使われます。病床数は700床、1床当たりの床面積は101uです。これはどれくらい余裕があるかを示す基準でもあり、病院に必要な施設の他、検査室、会議室等その他一切のものから割り出していきますから、1床あたりの床面積が広いほどよりゆったりとした病院であると言えます。ちなみに香里病院は50uを少し切ります。

( slide No. 8 )

 大きさを滝井の附属病院と比べています。滝井の附属病院は建て増しを続けて継ぎはぎになっていて、患者さんや職員の動線が悪くなっています。枚方病院ではそれを一まとめにできますから機能的に患者さんにも居場所がわかりやすくなります。

( slide No. 9 )

 これは13階までの各階構成図です。地下にはエネルギーセンターや職員食堂があり、地上1階にはレントゲン室やコンビニなどが入ります。総合リハビリセンターも1階です。2階と3階が外来です。枚方では臓器別診療で循環器内科・外科、呼吸器内科・外科、消化器内科・外科になっています。3階にはレディース・クリニック、腎泌尿器科、生殖医療センターなどをまとめて配置しています。4階から上に病棟があります。4階には中央手術室と救急病棟。5階が新生児室、周産母子病棟、6階が循環器、7階が整形外科と呼吸器、8階が消化器、9階が皮膚科、形成外科、血液腫瘍内科、10階が眼科と耳鼻科、11階が腎泌尿器科と女性診療科です。12階は特別病棟です。13階の眺望は非常によく、大阪梅田のビル群まで眺望できます。この階には講堂やレストランが設けられます。

( slide No. 10 )

 災害に強い病院とするために免震構造が採用されています。耐震ではなくて地震の揺れを消してしまう構造です。基礎の下に鉄板とゴムを幾層にも積み重ねた免震装置が並べられ、その上に構造物があります。震度7くらいの揺れがきても建物の中では震度1程度にまで免震されるようです。

( slide No. 11 )

 平成15年3月に起工式が挙行されました。来賓初め多くの方が来られて盛大に行われました。ここで鍬入れをされている方が関西医科大学の塚原理事長で、日置学長も臨席されました。

( slide No. 12 )

 建設工事のスケジュールです。着工後、基礎工事、地下躯体工事、地上躯体工事が平成15年12月から始まり、平成17年8月には地上仕上げ工事がすべて終わって竣工することになります。建物検査を行い、その後医療機器の搬入と設置、病院を十分使っていくための職員のトレーニングも実施され、平成18年1月に開院する予定になっております。

( slide No. 13 )

 これは同じ地点から見た着工前と現在の状況です。上が着工前で、淀川があり、右端には府道京都守口線、病院建築予定地、ここが先程の情報センターが入る三角形の土地です。これは車が敷地内に入るための中央道路です。下は去年11月末の状況で、かなり建ってきています。府道京都守口線、情報センターになるところです。中央道路から病院に車で入ることになります。

( slide No. 14 )

 2004年11月末で12階、13階あたりまできています。

( slide No. 15 )

 これは12月7日の状況です。高層棟の12階まで完了しています。ここまで大きくなりましたので、枚方市駅から建物をごらんになった方もいらっしゃると思います。

( slide No. 16 )

 これは建築中の5階から淀川の河川敷公園を見ています。西側に枚方大橋が見え、夕日が沈む頃はほんとうに眺めのよい場所です。四角く写っているところは国土交通省と一緒に利用するヘリポートです。

( slide No. 17 )

 同じく淀川方面の河川敷の様子です。この河川敷は病院のリハビリセンターと連動してリハビリのためにこの河川敷をそのまま使えるようにアプローチを考えて作り上げています。

( slide No. 18 )

 河川敷公園のスロープはバリアフリーになっていて、手すりも付けられて入院されている患者さんが自由に出入りできるようになっています。

( slide No. 19 )

 枚方市の基本構想に淀川に向かって開かれた街づくりというのがあります。天野川から淀川に向かって緑のベルトを作ろうという構想もあります。枚方はご存じのとおり京都と大阪の間の歴史ある場所です。摂津となにわの間の三十石船が有名で、枚方宿があり、「くらわんか」という呼び声で売りにきたくらわんか船でも有名です。また平安時代の貴族たちが七夕伝説に見立てた由緒ある歴史ある場所です。先程出てきた天野川を七夕の銀河に見立て、天野川の北には織姫神社、南には牽牛石があります。星田、星が丘のように星にちなんだ地名も残っています。枚方の桜も有名です。枚方・交野は交野が原と呼ばれて、昔は貴族の遊猟地だったそうです。渚の院も千本桜で有名で、伊勢物語の中で在原業平は「世の中に たえて桜のなかりせば 春の心はのどけからまし」と読んでいます。

  ということで我々も病院だけを建てるのではなく、枚方市の基本構想に協力して新町八景と名付けたテーマを考えています。リハビリテーションの道しるべにも役立つように、夕日が沈むところに小道を作って「夕日の小道」と名付けよう、リハビリのための坂を「くらわんか坂」としよう、天野川に向かう小道を「星の小道」と名付けよう、そんなことを考えられています。場所の個性化と癒しの気持ちを周囲に散りばめた病院を作っていこうとしています。

( slide No. 20 )

 院内の4床室のモデルルームです。広々とした空間です。

( slide No. 21 )

 病室の扉ですが、この色をどうするか決まっていません。病棟ごとあるいは診療科ごとに区別することになっています。

( slide No. 22 )

 病室内の洗面化粧台にも新しい考えを取り入れて、感染防止のための一体成形になっています。病室内のトイレも介助付きで車椅子での使用も可能なスペースが確保されていますし、清掃しやすくなっています。便器は壁掛けタイプでシャワー洗浄器付きです。

( slide No. 23 )

 完成予想図です。上が淀川です。ここに情報センターがあり、2階の正面玄関の受付に入れるようになっています。枚方市駅の市役所側はすべて2階の陸橋でいろいろなところに行けるようになっています。枚方市では淀川側のほうにも将来2階の陸橋を張りめぐらす計画があるようですので、それに合わせて2階から病院の玄関に入っていただく構造になっています。

( slide No. 24 )

 平成18年1月の枚方病院の開業に合わせて香里病院は平成17年末にいったん閉院します。そこで来院される方、入院されている方、働いている職員の問題があります。ここで香里病院に来院される病客の圏域を調べましたが外来の患者さんで電車利用の方は枚方市周辺と京阪の大和田駅以北の方が多く、以南は滝井のほうに行かれるようです。香里病院に入院されている患者さんで一番多いのは寝屋川市、そして枚方市、交野市です。この市の方々が90%ぐらいを占めます。建築されている病院はここですから、香里病院からそう遠くない場所です。寝屋川市から近く、枚方市の患者さんはそのままということで、枚方の附属病院に転院していただきたいと思っております。

( slide No. 25 )

 香里病院には現在1000名以上の患者さんが毎日来院されていますし、300名近くの入院患者さんがいます。徐々に入院患者さんの数を減らしていきますが、できるだけ皆様方に迷惑をかけないようにして閉院していこうと思っております。

  病客の皆様の転院先を考える必要があります。まず相談窓口を7月に設置して、転院先のご希望を聞いていきます。枚方や滝井の附属病院を始め希望される病院への紹介を行っていく予定にしていますが、いずれの病院であれ香里病院が行っている治療を継続されることを第一義に考えています。

  医師60名、看護師240名を含め500名ほどの職員も全員異動します。病院職員の異動先も未確定な要素が多いのですが、4月から7月に順次確定する予定です。決まり次第皆様方にお知らせする予定にしています。

( slide No. 26 )

 香里病院はこの附属枚方病院開院の計画の中で廃院いたします。今の病院の状態ではそのまま残しても老朽化して手狭です。しかし周辺の皆さんから存続の要望が強いことから再開することになりました。京阪香里園駅東地区再開発事業という計画が進行しています。これは香里病院を南端に香里園駅とUFJ銀行の向こうの角地までの三角形の地区での再開発事業です。医療を中心とした再開発は非常に稀な例だそうですが、再開発に関西医大も参画することになり、この三角形の中におられる皆様方が再開発事業組合を結成して、高層住宅地区、商業地区、関西医大が運営する病院地区など再開発が平成18年から開始され建設される手はずになっています。平成21年か22年くらいに運営が開始されるのではないかということですが、これからの協議次第ですから確定的なことは申し上げられません。いずれにしても現在の香里病院はいったん閉院します。香里病院に来ている方々のご迷惑にならないように種々考えておりますが、ご協力をいただかないとできないこともあるかと思いますので、その折にはよろしくお願いいたします。

 

 

関西医大HOME ->市民公開講座目次 ->第7回市民公開講座 ->付属枚方病院について