お薬の豆知識
 
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−目次−
1.お薬とじょうずにつき合う基本知識
 
2.糖尿病のお薬の基本知識
 
3.骨粗鬆症のお薬の基本知識


1.お薬とじょうずにつき合う基本知識
 
(1)医師の処方したお薬はその患者さんだけのものです
(2)お薬はきめられた通り正しくのみましょう
(3)お薬はコップ一杯ほどの水でのみましょう
(4)お薬をのむ時は体を起こしましょう
(5)お薬をのむ時間の目安を知っておきましょう
(6)お薬によってはのむ時間を変えてはいけないものがあります
 
  医師の処方したお薬はその患者さんだけのものです
 
 医師は、患者さんお一人お一人の症状にあわせて、お薬の種類や量をきめています。たとえ、 同じような症状にみえても、お一人お一人の病気の原因はそれぞれ異なっています。したがって、同じような症状だからといって、ご自分のお薬を他の人にわけてあげるのは、とても危険な行為となりますので、しないようにしてください。
 
  お薬はきめられた通り正しくのみましょう
 
 お薬は医師のきめた通りにのむことによってこそ、病気の治療に役立たせることができます。 特に糖尿病や高脂血症などの生活習慣病のお薬は、症状が感じられないからといって、のむのをやめてしまうと病気が悪くなる一方になってしまいます。また、症状がおさまらないからといって、一度にたくさんのんだり、立て続けにのんでも早く治るとは限りません。かえって、思わぬ副作用があらわれることもあります。お薬はきめられた通りに正しくのんでください。
 
  お薬はコップ一杯ほどの水でのみましょう
 
 お薬は水なしでのむと、胃や腸で完全に溶けないため、十分に作用を発揮しないまま排泄されてしまうことがあります。また、お薬が食道にくっついて潰瘍ができてしまうこともあります。したがって、お薬はコップ1杯(約180mL)程度の水またはぬるま湯でのむようにしてください。
 
  お薬をのむ時は体を起こしましょう
 
 寝たままの状態でお薬をのむと、食道や胃にお薬がくっついて潰瘍ができてしまうことがあります。お薬をのむときは、かならず体を起こしてから、コップ1杯(約180mL)程度の水またはぬるま湯でのむようにしてください。
 
  お薬をのむ時間の目安を知っておきましょう
 
 お薬をのむ時間は、のみ忘れないように食後となっていることがもっとも多いのですが、お薬によっては食間食前となっていることもあります。それぞれののむ時間の目安は次のとおりです。
 食後は食事をとり終わってからおおよそ30分後までの間であれば、いつお薬をのんでもかまいません。のみ忘れないように食後すぐにのんでもかまいません。
 食間は、朝食と昼食の間や昼食と夕食の間など、食事と食事の間という意味です。一般的には、食事をとり終わってからおおよそ2時間後の時期を指します。けっして食事中にお薬をのむという意味ではありませんので、間違わないようにしてください。
 食前は食事をとり始めるおおよそ30分前を目安としてお薬をのんでください。
 
  お薬によってはのむ時間を変えてはいけないものがあります
 
 ほとんどのお薬は、のむ時間によって効果が大きく変わることはないのですが、お薬によっては必ずきめられた時間どおりにのまなければならないものもあります。きめられた時間どおりにのまないと、お薬の効果が弱まったり、不都合が生じたりします。それぞれのお薬の性質によってのむ時間がきめられていますので、ご自分の判断でお薬ののむ時間を変えないようにしてください。
 
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 2.糖尿病のお薬の基本知識
 
(1)ファスティックというお薬は食事を始める前10分以内にのみましょう
(2)インシュリンの注射部位はあらかじめきめておきましょう
(3)白く濁っているインシュリンは注射する前に必ず均一に振り混ぜましょう
 
  ファスティックというお薬は食事を始める前10分以内にのみましょう
 
 ファスティックという糖尿病のお薬は、食事を始める前10分以内にのむと、食事後の高血糖を抑える効果があります。しかし、食事を始めた後にこのお薬をのむと、食事後の高血糖を抑える効果が弱まってしまいます。また、このお薬をのんだ後、食事を始めるまでに時間がかかり過ぎ、たとえば30分以上かかってしまったような場合は、低血糖症状を起こす可能性が生じてきます。したがって、ファスティックは必ず食事を始める前10分以内にのむようにしてください。
 
  インシュリンの注射部位はあらかじめきめておきましょう
 
 インシュリン注射に適したからだの部位は、上腕の外側、お腹、お尻、太ももの上半分外側の4つです。しかし、これらの注射部位はインシュリンの吸収しやすさが異なっているので、インシュリン作用のあらわれ方が注射部位によって異なってきます。もっとも吸収しやすいのがお腹で、ついで上腕、お尻、太ももの順です。したがって、毎回注射部位を変えると、インシュリン作用にばらつきが生じ、血糖コントロールが乱れます。いったん注射部位をお腹にきめたら、いつもお腹に注射するようにし、お腹の中で毎回2〜3cmずつずらして注射するようにしてください。
 


 
  白く濁っているインシュリンは注射する前に必ず均一に振り混ぜましょう
 
 実際のインシュリンには無色透明のものと白く濁っているものとがあります。無色透明のものは「超速効型」および「速効型」のインシュリンです。白く濁っているものは「中間型」、「混合型」、および「持続型」のインシュリンです。
 「中間型」や「持続型」のインシュリンは持続化剤が添加されていて白く濁っています。「混合型」インシュリンは「速効型」と「中間型」のインシュリンがいろいろな割合で混合されていて、「速効型」と「中間型」の2つの効果を併せ持っています。
 白く濁っている「中間型」、「混合型」、「持続型」のインシュリンは、注射する前に均一に白濁させないと作用が不安定になり、思ったような効果が得られないことがあります。 白く濁っているインシュリンは、注射する前に必ずバイアルを上下にゆっくり動かして液を均一に白濁させてから注射しましょう。
 
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 3.骨粗鬆症のお薬の基本知識
 
(1)アクトネルやボナロンというお薬は朝起きた時に朝食をとる前にのみましょう
(2)ダイドロネルというお薬は食間にのみましょう
(3)アクトネルやボナロン、ダイドロネルというお薬は寝たままでのまないようにしましょう
 
  アクトネルやボナロンというお薬は朝起きた時に朝食をとる前にのみましょう
 
 アクトネルやボナロンという骨粗鬆症のお薬は、朝起きた時など、胃の中に食べ物が残っていない時にのむと、骨を丈夫にして骨折を起こしにくくする効果があります。しかし、食後にのむとお薬の吸収が悪くなり、骨を丈夫にする効果が弱まってしまいます。したがって、アクトネルやボナロンは朝起きた時に朝食をとる前にコップ1杯の水でのむようにしてください。また、お薬をのんでから30分間は水以外の飲み物や食べ物、他のお薬をのまないようにしてください。
 
  ダイドロネルというお薬は食間にのみましょう
 
 ダイドロネルという骨粗鬆症のお薬は、食間にのむと骨を丈夫にして骨折を起こしにくくする効果があります。しかし、食後にのむとお薬が吸収されなくなり、骨を丈夫にする効果がなくなってしまいます。したがって、ダイドロネルは必ず食間(食後2時間)にコップ1杯の水でのむようにしてください。また、このお薬をのむ前後2時間は食べ物や牛乳をとらないようにしてください。
 
  アクトネルやボナロン、ダイドロネルというお薬は寝たままでのまないようにしましょう
 
 アクトネルやボナロン、ダイドロネルというお薬は、寝たままの状態でのんでお薬がのどや食道に残ってしまうと、のどや食道に刺激症状を引き起こします。また、食道や胃にお薬がくっついてしまって潰瘍ができてしまうこともあります。したがって、これらのお薬をのんでから30分間はからだを起こしたままにし、横にならないようにしてください。
 
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関西医科大学附属病院 薬剤部